2020年4月28日 10:00【自治体の脱プラ・その1】東京都の脱プラスチックへの取り組み

さまざまな製品に用いられるプラスチックですが、ごみが海に流れ込んで汚染を広げ、地球温暖化を引き起こす原因として大きな社会問題となっており、世界各国で脱プラスチックに対する関心が高まっています。

 

脱プラスチックを進めるべく、国内の自治体も積極的に動き出しています。

その取り組みの中には、これから脱プラの取り組みを始めようと考えている企業にとってヒントとなるものがたくさんあります。

今回は、東京都や東京都内の市区町村で実施されている取り組みをいくつかご紹介しましょう。

 

東京都庁での紙ストロー試用

紙ストロー
東京都では、脱プラスチックの先行的な取り組みとして、2018年10月、都庁舎内の飲食店で「紙ストロー」を試験的に導入し、利用に向けた検証を行いました。

 

実施後のアンケートによると、紙ストローを初めて使ったという人が8割近くいて、使い方によって多少の使いづらさを感じたものの、概ね6割の人が使い勝手に問題はないと回答しています。

そして、7割の人が今後も使ってみたいと答え、その理由として環境問題への関心やプラスチック削減の取り組みへ参加する重要性を挙げている人が多くみられました。

 

この結果から、環境意識が高く、紙ストロー利用のような行動について協力的な姿勢を示す消費者が多くいることが分かります。

 

東京都の代替ストローアイデア募集

東京都では、紙ストロー試用と並行する形で、2018年9月から10月まで「プラスチックストローに代わるアイデア募集」を行いました。

これは、プラスチックストローを使わないで済むための代替方法を自由に発想し、身近な問題としていこうとするものです。

翌年2月には優秀賞10作品が発表され、木製の箸にもストローにもなるアイテムや、お菓子、こんにゃくなどを使ったストローなどのユニークなアイデアがたくさん集まりました。

 

発表会では投票も行われ、キャンディを素材としたストローが最も多くの票を集めて最優秀賞に輝いたそうです。

持続可能な取り組みにするためには、有効性はもちろん楽しさも不可欠ということかもしれませんね。

 

東京都の脱プラの新ビジネスモデル公募

東京都では、事業者に対する脱プラのビジネス促進も行っています。

2019年度には、ワンウェイプラスチックの削減やプラスチックのリユース・リサイクルの実現のため、先駆的な取り組みを行う事業を公募し、1事業につき1500万円までの交付金を出して助成しました。

 

審査の結果、2つの事業が採択されました。

ひとつはリユース容器に入った日用品や食品を宅配・回収し、容器を洗浄・充填して再使用する事業。

もうひとつは飲食店で提供するプラカップを紙製に変更したうえで使用済み紙カップを回収し、紙袋に再生する事業です。

 

今後も、このような環境対策活動が公募される可能性があります。

引き続き注目すべき自治体の取り組みのひとつといえるでしょう。

 

杉並区のレジ袋削減・マイバッグ推進

マイバッグで買い物
東京都だけでなく、都内の市区町村でも脱プラスチックに関する取り組みが進められています。

 

東京都杉並区では、2002年5月にレジ袋削減を推進する協議会を立ち上げ、2005年7月にはマイバッグ持参率が35.2%となり、全国で最も高くなりました。

区はさらに取り組みを進めるため、レジ袋有料化を区内スーパーで実施したところ、マイバッグ持参率が83%まで引き上がりました。

この成果を受けて区は、2008年3月に通称「レジ袋条例」を制定し、レジ袋削減を積極的に展開しました。

マイバッグ持参率60%以上を達成した店舗は条例制定時17事業所だったのが、2018年度には43事業所と3倍近くにまで迫っています。

 

八王子市のミクロネシアでのレジ袋削減への貢献

中には、地域の脱プラスチックだけでなく、海外のごみ問題への支援をする自治体もあります。

 

東京都八王子市は、人口50万人以上の都市で「ごみ量の少なさ」全国1位になった実績を活かして、ミクロネシアへ職員を派遣したり現地職員を市に招いて研修を行ったりしています。

2R(リデュース・リユース)やマイバッグ持参の普及活動や、ごみ処理事業の改善などに取り組んでいるのです。

また、脱プラの活動として、海岸沿いのごみ拾い活動や、レジ袋などのプラごみが海洋生物に与える影響を出前講座などで訴える啓発活動も行っています。

 

おわりに

世界各国で脱プラへの関心が高まる中、日本国内でも自治体の後押しを受けながら、さまざまなアイデアを出して活動を行う企業や店舗などが増えてきました。

ユニークなストローや、技術的に難しかった使用済み紙製品のリサイクル、まちを挙げてのレジ袋削減、海外支援を通じた国際交流など、ワンウェイプラスチックの削減やリデュース・リユース活動がさまざまなアイデアで進められています。

 

脱プラ活動は、長く持続させることが大切です。

東京都などの自治体での取り組みを参考に、早期に実施可能な取り組みから少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。

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