2019年12月24日 10:00プラスチック代替品の素材例と「プラスチックから紙へ」の移行事例
近年、深刻化している環境問題の一因であるプラスチックごみを減らすために、プラスチック代替品の開発が進められています。
環境問題に取り組む企業の中には、プラスチックから紙へと移行したことで、脱プラスチックに成功した例も少なくありません。
今回は、プラスチック代替品の素材例と、プラスチックから紙へ移行した企業の事例をご紹介します。
プラスチック代替品の素材
具体的にプラスチック代替品にはどのような素材があるのでしょうか。
代表的なものを見ていきましょう。
寒天
ところてんや寒天ゼリーなどの材料としておなじみの寒天。
実は、割れやすいものなどを包む緩衝材の代替品としても利用されています。
寒天の原料は紅藻類(藻類)なので、海に流されても自然と分解され、海洋生物に悪影響を及ぼすことなく自然に還ります。
土と混ぜ合わせることで保水力の高い土壌づくりにも応用できますし、軽量ながらも耐久力の高い緩衝材がつくれる点も優れたポイントです。
麦わら
麦わらは茎の中が空洞のため、液体を通すのに適している素材です。
元々「ストロー」とは英語で「麦わら」を意味している言葉であり、昔は麦わらをそのままストローとして使用していました。
しかし、麦わらは長さにバラつきがあったり、割れているものや裂けているものがあったり、素材として活用できないものも多くあります。
それらを加工して商業利用が可能なレベルのストローに仕上げるには、プラスチック製ストローの約400倍のコストが必要となります。
そのため、麦わらは今後さまざまな壁を乗り越えて市場に出回ることが期待される素材といえるでしょう。
石灰石
石灰岩は世界各国、また日本国内でも大量に採取可能な資源です。
石油由来の樹脂などを混ぜて加工することで、レジ袋やクリアファイルなどプラスチック全般の代替品になります。
特に石灰岩は、鉱物資源の中では国内自給率が100%を越えている唯一の資源のため、日本国内での開発・利用がスムーズに行える素材です。
紙
紙は日本で古来より使われ続けている素材です。
プラスチック全般の代替品として利用でき、従来よりも耐水性・耐油性の高い素材などが開発されている上、プラスチックにも劣らない強度を持たせることにも成功しています。
木を原料としている紙製品は、石油由来の製品に代わるエコな素材として改めて注目されています。
その環境負荷の少なさから、脱プラスチックをして紙製品に切り替える企業も多くあります。
実際に、大手菓子メーカーでは今までプラスチック製のピックを同梱していた商品に紙でできた新素材のピックを採用することにしました。
ヨーロッパでは、紙素材のスプーンやフォークなどを使う文化があり、紙素材への移行は今後グローバルなムーブメントとしても注目されるかもしれません。
プラスチックから紙へ。日本企業の移行事例
プラスチックから紙に移行した日本企業の事例をいくつかご紹介します。
コンビニの弁当容器
ある大手コンビニエンスストアでは、今まで耐水性・耐油性などの問題から実現が難しかった紙製の弁当容器を採用することにしました。
配送に対する耐久性なども含めて何度もテストを重ね、まず1商品のみから導入を始めています。
弁当容器をプラスチックから紙へと移行することで、プラスチック使用量をおよそ7割削減することに成功しました。
ファミレスのストロー
大手飲食店チェーンでは、運営するファミリーレストランで使用するストローを、プラスチックから紙へと移行しています。
段階的に移行し、2020年までに全店舗で紙製品のストローが採用される予定です。
お菓子のパッケージ
大手菓子メーカーでは、プラスチック製だった菓子の外袋を紙製に変更しました。
現在は品質維持の問題があり外袋のみですが、2022年までに個包装も脱プラすることが目標とされています。
プラスチックから紙へ移行する企業が増えている理由
プラスチックを利用した製品は、使う人や買う人が多ければ多いほどごみも増えることになり、それだけ環境問題に加担していることにもなります。
社会に大きな影響を与える企業だからこそ、この時代に脱プラを掲げて環境にやさしい商品開発を進めることに意味があるのかもしれません。
プラスチックから紙へ移行できるものの例
紙素材を使えばどのようなものをプラスチックから移行できるのか、その一例をご紹介します。
レジ袋(ショッピングバッグ)
スーパーやコンビニなど、日常的に多くの方が利用するものです。
石油由来のポリ袋を廃止して紙製にできればかなりのプラスチックごみ削減につながります。
ストロー
レストランやカフェなど、多くの飲食店で提供されるストローも大半がプラスチック製ですが、紙製へと移行する動きが高まってきています。
食品容器
電子レンジでの温めに対応できるか、食品の水分や油で破れたりしないかなど、まだまだ課題はありますが、コンビニ弁当の例のように実現されつつあります。
おわりに
世の中にプラスチック製品があふれる現代では、毎年800万トンものプラスチックごみが海に流れ出しています。
海に流れたプラスチックごみは海洋生物に多大な影響を与え、そして海で採れた魚介類を食べる人間にも影響を及ぼします。
このような悪循環を止めるためには、今回ご紹介したプラスチックから紙への移行事例のように、「1商品のみで導入」や「包装の一部を紙製に切り替え」などのようにスモールステップで良いので、少しずつ脱プラスチックに取り組むことが必要なのです。
現在多くの人が利用するプラスチック製品を企業活動に使用しているならば、紙製品などプラスチックの代替品への移行をぜひご検討ください。
利用者が多いほど、代替品にした場合により環境にやさしい製品になります。
天満紙器では今後もお客様の脱プラスチックへの取り組みをお手伝いするべく、環境に配慮した紙製の食品容器の商品開発に努めてまいります。