2020年2月10日 18:00脱プラスチックで環境を守ろう! 紙の容器に変えると環境に良い理由とは?
プラスチックは熱を加えると形をすぐに変えられるため、とても便利なもの。
簡単に大量生産でき、軽い・強い・断熱性などの特徴があり、衛生的にも優れているのが魅力です。
しかし近年、「プラスチックが環境に良くない」というニュースを見かける機会が多くなりました。
その理由をご存知ですか?
プラスチックが環境にどのような影響を与えるのか、なにが問題なのか、そしてその問題を解決するためにどのようなことができるのかについてお伝えします。
<目次>
- プラスチックってそもそもどんなもの?
- プラスチックはなぜ環境に悪い?
- プラスチックが問題になっているのはなんで?
- 脱プラスチックのためへの取り組み
- まとめ
1.プラスチックってそもそもどんなもの?
プラスチックは私たちの生活に当たり前に存在するものですが、そもそも何からできているか知っていますか?
プラスチックがどのようなものなのかお伝えします。
1-1.プラスチックの原料
プラスチックは地球の貴重な資源である石油から作られています。
プラスチックができる工程をご紹介します。
①原油を蒸留し、ナフサを抽出
②ナフサをポリマーに変える
③ポリマーをペレットに変える
④ペレットをプラスチック成型工場で製品に加工する
このような流れでプラスチック製品は誕生します。
1-2.プラスチックの種類
プラスチックと言っても実は2種類に分類することができます。
それぞれの特徴についてお伝えします。
①熱可塑性樹脂(ねつかそせいじゅし)
熱を加えると溶けてやわらかくなり、さまざまな型に入れることができます。
冷ますと製品になりますが、もう一度熱を加えると再びやわらかくなる性質を持っているのが熱可塑性樹脂の特徴です。
②熱硬化性樹脂(ねつこうかせいじゅし)
熱を加えることでやわらかくなり、さまざまな型に入れることができるのは熱可塑性樹脂と同じですが、熱硬化性樹脂の場合はさらに加熱すると硬くなるのが特徴です。
一度、硬化したあとでは基本的にやわらかくならない性質を持っています。
2.プラスチックが与える環境への影響は?
プラスチックがどのように環境に影響を与えているのかについてお伝えします。
2-1.水質汚染
私たちの生活に身近なビニール袋・発泡スチロール・緩衝材・お弁当の容器などの多くは使った後にきちんと処理されていないことが多いと考えられています。
きちんと処理されなかったプラスチック製品は環境に流出してしまうケースが少なくありません。
流出したプラスチック製品は河川などをとおり、最終的に海に行きつきます。
すでに世界では海に大量のプラスチック製品が流出していると言われており、さらに年間800万トンのプラスチック製品が海に流出していると考えられています。
近年はそのプラスチック製品の影響で魚類・海鳥・海洋哺乳類・ウミガメなどの生物たちが傷つけられたり死んだりしているニュースを見かけることが多くなりました。
それは動物たちがポリ袋などのプラスチック製品をエサと間違えて食べてしまうからです。
さらに問題視されているのは波や紫外線の影響を受けて小さなプラスチックの粒子となったマイクロプラスチック。
マイクロプラスチックはとても小さい破片であることから魚類・海鳥・海洋哺乳類・ウミガメなどの生物の体内に知らず知らずのうちに取り込まれている場合があると考えられています。
マイクロプラスチックが人やさまざまな生物の体や繁殖にどのような影響があるのかは具体的にはわかっていませんが、有害物質を含むかもしれないマイクロプラスチックの問題は深刻に受け止めなければいけない問題と言えるでしょう。
2-2.土壌汚染
プラスチック製品がゴミとして処理されるとき、燃やされることもありますが、多くの場合は土に埋められます。
土の中には水や化学薬品が混ざっていることもあり、それがプラスチックと反応して有害な物質を発生させるおそれがあります。
その有害物質が土の中に少しずつ広がり、そのまま放置され続けることで深刻な土壌汚染につながると考えられています。
2-3.大気汚染
大量のプラスチックゴミが放置されたままになっていると劣化する過程で化学反応や乾燥した摩擦熱などにより炎が発生することがあります。
すると、プラスチックが低温で燃やされ、ダイオキシンなどの有害物質が発生し、大気を汚染するおそれがあります。
それだけでなく、メタンなどの温室効果ガスを発生させる場合もあると言われています。
温室効果ガスが地球にどれだけ影響を与えているかは具体的にはまだわからないようですが、気候変動や温暖化に何かしらの影響を与えているのは間違いないでしょう。
3.プラスチックが問題になっているのはなんで?
プラスチックが環境にさまざまな影響に与えることが問題になっていますが、具体的にはどのようなことが問題になっているのでしょうか?
3-1.生活の一部となっている
プラスチックは加工のしやすい・大量生産がしやすい・コストがほとんどかからないということから、私たちの生活にあふれかえっています。
着色も簡単にできるので、生産者からしてみたらとても便利なものと言えるでしょう。
ビニール袋・シャンプーのボトル・ペットボトルはわかりやすいプラスチック製品ですが、実は紙製品の隠れた場所にプラスチックは使われています。
例えば、牛乳パックが良い例でしょう。牛乳パックは紙製品ですが、その内側にはコーティングのためにプラスチックの一種であるポリエチレンが薄く伸ばされています。
このように、見た目でプラスチックとわかるものからプラスチックと関係なさそうな製品にまで幅広くプラスチックは使われています。
3-2.プラスチックの廃棄の仕方
プラスチックを処理する方法は一般的に2つの方法があると言われています。
1つ目の方法は燃やすこと。しかし、プラスチックを燃やす場合は十分な高温で焼却しないと有害物質が発生するおそれがあるので注意が必要です。
日本のようにプラスチックを完全焼却できる高温に達する施設がある国は良いですが、そうでない国では低温で焼却されることもあるので、大気汚染につながっている可能性があります。
2つ目の方法は埋める方法。これは非常に長い間、土の中にプラスチックが残り、先ほどもお伝えしたとおり土壌汚染にもつながると考えられます。
では、リサイクルはどうなのか?
リサイクルは使ったペットボトルを新しいものに生まれ変わらせているにすぎないため、プラスチックを減らしているわけではありません。
これからの未来のためにも脱プラスチックへの働きかけが重要と言えるでしょう。
4.脱プラスチックのためへの取り組み
プラスチックが環境に与える影響が問題視されている近年では、脱プラスチックに向けて日本の企業や社会がさまざまな取り組みをはじめています。
どのような取り組みをしているのか、その一部をお伝えします。
4-1.エコバッグの利用
近年、増加傾向にあるエコバッグの利用者。
スーパー・コンビニ・ドラッグストアなどで無料配布していたビニール袋が有料化したり、エコバッグを利用すればポイントがもらえたりするサービスが普及することで、環境に優しい買い物をすることができます。
エコバッグの良いところは小さく折りたためて持ち運びしやすく、繰り返し使えるところがポイントです。
購入するときはコストがかかりますが、一度購入してしまえば長期にわたって使うことができるのでおすすめ。
自分の好きなデザインのエコバッグを使えば愛着もわき、買い物も楽しくなるでしょう。
4-2.紙製ストローの利用
脱プラスチックの流れを受け、ビニール袋の次に注目を浴びたのがストローです。
チェーン店・コンビニ・カフェなどでプラスチック製のストローを紙製のストローに変える取り組みが行われました。
しかし、紙製のストローはまだまだ普及しておらず、コストが高いという課題も…。
さらにふやけて吸いづらいなどの声もあることから、紙製の普及とともに植物由来の成分を用いたバイオマスプラスチックを利用したストローの開発なども行われています。
今後、脱プラスチックの流れが加速し、紙製のストローの普及が進めば紙製ストローのコストが下がり、市場にも多く出回ることでしょう。
4-3.コンビニの弁当の容器を紙パッケージへ
サラリーマンやOLの方が利用しやすいのがコンビニ弁当。
脱プラスチックに向け、コンビニ弁当の容器を実際に変えているコンビニがあります。
そのコンビニとはローソン。ローソンではプラスチック容器の弁当を紙製に変更したことでなんとプラスチックを約7割カットできたという事例も誕生しています。
5.まとめ
プラスチックは生活の中に溶け込み、幅広く利用されており、とても便利ではありますが、これからの環境のことを考えると脱プラスチックへ向かうべきでしょう。
そのためには、日本の企業の取り組みはもちろん、日々の生活の中で一人ひとりができることを探すのが脱プラスチックへの第一歩。
深刻な海洋問題・土壌汚染・気候変動などの問題から目をそむけず、一歩一歩脱プラスチックへ向かうための取り組みを一人ずつ考えてみませんか?